| 安倍公房「砂の女」の感想 |
偶然にも、「おお!」と個人的に非常に気に入った名言に出くわしたので、ちょっと掲載しておきます。物語の最後ころに出てくるフレーズなんですが。
| 安倍公房・著 「 |
| (百人に一人なんだってね、結局・・・・・・) (なんだって?) (つまり、日本における精神分裂症患者の数は、百人に一人の率だって言うのさ。) (それが、一体・・・・・・?) (ところが、盗難の癖を持った者も、やはり百人に一人らしいんだな・・・・・・) (一体、なんの話なんです?) (男色が一パーセントなら、女の同性愛も、当然、一パーセントだ。それから、放火癖が一パーセント、酒乱の傾向のあるもの一パーセント、精薄一パーセント、色情狂一パーセント、誇大妄想一パーセント、詐欺常習犯一パーセント、不感症一パーセント、テロリスト一パーセント、被害妄想一パーセント・・・・・・) (わけの分からん寝言はやめてほしいな。) (まあ、落ち着いて聞きなさい。高所恐怖症、先端恐怖症、麻薬中毒、ヒステリー、殺人狂、梅毒、白痴・・・・・・各一パーセントとして、合計二十パーセント・・・・・・この調子で、異常なケースを、あと八十例、列挙できれば・・・・・・むろん、出来るに決まっているが・・・・・・人間は百パーセント、異常だということが、統計的に証明できたことになる。) (なにを下らない!正常という基準がなけりゃ、異常だって成り立ちっこないじゃないか!) (おやおや、人がせっかく、弁護してあげようと思っているのに・・・・・・) (弁護だって・・・・・・?) (いくら君だって、まさか、自分の有罪を主張したりするつもりじゃないんだろう?) (あたりまえじゃないか!) (それなら、もっと素直にふるまってほしいものだね。いくら自分の立場が例外だからって、気に病んだりすることは、すこしもありゃしないんだ。世間には、色変わりの毛虫を救う義務がないと同様、それを裁く権利もないのだから・・・・・・) |
というわけで、「砂の女」残り30ページのところにまで読んで来ているわけですが、安倍公房は、結構好きです(という程は読んでませんが)。確か、小学校の頃かなんか、いや、中学校かな?「赤い繭」とか「棒になった男」とかいう小説が、国語の教科書に載っており、なんか、奇妙奇天烈な世界を描く人だなぁ・・・と、そこで興味を持ち、ガンガン読みまくったとイカナイところが、私のほんとナメてるところですが(密かに興味を持っておりました。)。
一冊だけ家に、安倍公房の「方舟さくら丸」という本があり、これは、非常におもしろくって二十歳の頃に2〜3度読み返しました。おそらくノアの箱舟をモチーフに作られた作品でしょう(これは個人的にはちょっとオススメです)。
こうやって、彼の小説を読みながら、安倍公房ってスゴいなぁ!と思うのは、やっぱ、この世に全くない世界、そして世界観を文字だけで読者に知らしめる、その技術でしょうか?「ここがこうだったら変だな・・思わずわらっちゃうね!」というような、たった一つのイタズラ心が、そっくり登場人物たちの人生になってしまっているわけですから。これは、かなりの想像力だと思います。
というか、彼自身には、目の前に、もうそうした世界がそっくりそのまんま見えてるのかな?という感じ。ちなみに、同作者の「箱男」にもチャレンジしたのですが、こちらは、途中で挫折してしまいました。ダンボールを被って生活する男の話なんですが・・・
2004/06/28作成 by綾香
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