ひんやりしたい貴方に贈る
はママに
散々悪態をついた後
ものスゴク恐かった

もしかしたら
僕が
今スプーンですくい
飲もうとしている
スープに

僕が一口飲めば
あっという間に
僕を殺してしまう
猛毒がしこまれているのではないかと

すごく
すごく
恐くて

僕は祈りながら
目をつむり
スプーンを口に押し込んだ

「ママ
僕は悪い子でした
僕はもう二度と
ママに悪態をつきません
逆らいません」と

ママが僕にほほえむ
ノドを下るスープ
胃の中が温かくなる

僕ハ
今日ハ死ナナカッタ・・

僕は明日から
もっとイイコになろう
きっとイイコになろう
ずっとずっとイイコになろう

そう心に誓った

(title:「反抗」)


虫は
僕の脳を
酷く好んでいる様である

例の
昆虫は
僕の脳の奥に
居座っている

毒をまき散らしながら
歓喜におぼれ
悶絶しまくる

に1度
女には
血の制裁が来る

その時
女達は

極度の貧血から
全身をけだるさが襲い
激しい頭痛をひきおこす

そうして
時に食したものを
嘔吐し

家事などの
一切がっさいの
全てを放り投げ

氷枕を頭に
延々寝込むのだ

月に1度
女には
血の制裁が来る

アダムとイブ
イブが
リンゴをかじり

楽園を
追放された
あの日から

女には
血の制裁が来る

受難の日
女として
生を受けた自分を

天へと
呪う日

神を裏切り
楽園を追放された
愚かなイブを

心の底から
呪いたもう日
<2002/10/27>

間には
とてつもなく
恐ろしい
顔というのが
ございます

表情と申しましょうか

それは
激怒の顔ではなく
それは蔑みの顔でもなく
当然笑顔でもなく

とにかく
えもいわれぬのです

その様な
表情に出くわすと
きっと人は
誰しもプツプツと鳥肌が立ち
ひしひしと身の危険を
感じるのでしょう

笑顔でもない
安堵の顔とでも申しましょうか?
いえ安堵でもありません
それは
何かえもいわれぬ程に
腹のどす黒さを感じさせる表情であり

腹の奥底からこみ上げてくる
黒い笑いと申しましょうか?
唇はゆがみ
目はギラギラと
気味の悪いほどに輝いており

まるで
今今手に持つ出刃で
人一人を殺し終えたような
そのような折にふっと漏れる
醜き安堵の表情です

何を頭でたくらめば
ああした表情が
表に漏れ出てくるのかは
とんと分かりません

けれど
私はこの長い人生で
たったの三度(みたび)ですが
人様の顔にそんな
表情がのりうつった瞬間を
見たことがあります

あれは果たして
何かが憑依したのでしょうか?
<2004/06/26>

色い
汁が
出続ける

顔面や
体中が
かゆくて
たまらない

黄色い汁は
ねとねと
していて
気味悪く笑い

体中の
毛穴という
毛穴から
歓喜の
雄たけびをあげ
じわじわと
皮膚を占領してゆく

ああ
僕の体は
透明じみた
黄色い汁に
占領されてゆく

奴らは
皮膚という
皮膚を
感化し
次々と
占領してゆく

もう
まともな
つるんとした
皮膚は
僕の体表の
ドコにも
見当たらない

膿でもない
透明で
黄色い汁が
僕の
体表を
じわじわと
覆い
固まって行く

地中から
溶け出す
マグマの様に
<2003/04/20>


体の奥から

匂い来る
血液の中の
ヘモグロビンの
鉄臭さ

全身が
血なまぐさくて
しょうがない

ボックスに
乱雑に詰め込まれた
赤黒いタンポン

トイレの
小さな水面に
股の間から
したたり落ち
赤く波紋を広げる
血液

血なまぐさい・・・
血なまぐさい・・・

だから
私は
石鹸で
こすり続けるのだ

頭のてっぺんから
足のつま先まで

全身の
皮膚が
こすれ

その表皮から
血がにじみ出るまで

ごしごしごしごし
ごしごしごしごし

ごしごしごしごし
ごしごしごしごし

消えない
消えない
消えない

血なまぐささが・・・
<2002/10/28>

には
さまざまな妄想が出てくる

例えば
調子こいてリズミカルに
キャベツの千切りなどを切っていると
一緒に指まで
ザクザク切り落とすなんて
妄想にかられ
あわてて包丁を
手放すなんてこともある

また
他にはこんな妄想がある

網戸の壊れた
窓から道路を覗き込む時など
フイに僕の体が
一回転して
うっかり転落してしまう
なんてのはどうだろう?

地面にたたきつけられたら
即死だろうか?
はたまた腰骨骨折だろうか?
そんな風にその後の僕を想像すると
まさに血の気が引く思いなのである

僕のイマジネーションは
時に生々しく
おどろおどろしく
妙に現実味を帯びていて
ありがちで
リアルな恐怖に思わず僕は
その網戸のない窓から
飛びのいてしまう

しかし
もっとも
僕の見る妄想で
恐ろしいのが「階段」である

家の中の
ある特別な箇所の階段を
おりながら
僕はうっかり
けつまづきやしないかと
しばしば不安に思う

かくして僕は
いつになく緊張し
おそるおそる
階段を下りてゆくわけだが

そう!
その妄想とは

けつまづいて
例の階段を転がり落ち
顔面を打ちつけ
前歯にひびが入り
ひいては抜け落ち
歯抜けとなり
前歯が完全に差し歯になってしまう
という妄想である

僕には時に
イロイロな妄想が出るし
さまざまなことに怯え
よけて通ることもしばしばだが

これほど
生々しくありがちで
カルチャーショッキングな
妄想がいまだかつてあっただろうか?

僕は悲しくもサメじゃあない
人間である以上
一度歯が抜け落ちると
入れ歯にするか差し歯にするかしか
すべはないのである

せんべいが思う存分かじれなくなる
こいつぁ、ゆゆしき問題だ!

それゆえ僕は
例の階段で
決してけつまづかない様
やたらと慎重におりてゆき
その難関をついには突破したとき
ほっと胸をなでおろすのだ

ああ、
僕の前歯は本日も健在である、と

(title.「僕の妄想」)
<2003/09/09>
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